株式市場には「8月は相場が下落しやすい・停滞しやすい」という有名な特徴があり、これは「夏枯れ相場」と呼ばれます。新NISAを始めたばかりの方には不安な時期かもしれませんが、結論としては「怖がるものではなく、むしろチャンスを活かす絶好のタイミング」です。荒れる理由、ドル・コスト平均法の強み、見直しチェックリスト、暴落時のメンタル管理まで解説します。
では、なぜ8月になると市場が荒れやすくなるのでしょうか? 主な理由は2つあります。
欧米の機関投資家は7月後半から8月にかけて2週間〜1ヶ月程度の長期休暇を取るのが一般的です。市場を動かす主力が不在になることで市場全体の「取引量(流動性)」がガクッと落ち、少額の売買注文でも価格が大きく上下しやすくなります。
取引量が少ない「薄商い」の時期に悪材料や不景気なニュース、地政学リスクなどが出ると、買い手が極端に少ないため価格が下へ下へと押し下げられます。普段なら押し目買いが入る場面でも、8月は下げ止めがかからずに一気に下落するケースが珍しくありません。
8月の相場の荒れは「市場の参加者が減ることによる構造的な現象」です。経済の根本的な崩壊とは異なるケースが多いため、まずは「夏はそういう季節なんだな」と冷静に捉えることが大切です。
「積立投資(ドル・コスト平均法)」の基本
相場が荒れて株価が下がると不安になりますが、積立投資(特に定額で購入し続けるスタイル)を行っている人にとって、株価の下落は実は「絶好の仕込み時」になります。それを支えてくれるのが、投資の王道と呼ばれる「ドル・コスト平均法」です。「毎月1万円」のようにあらかじめ決めた一定金額で、定期的に同じ商品を買い続ける手法のことを指します。
基準価額が高いときには「少ない量(口数)」しか買えません。これが高値掴みを防ぐ働きをします。
株価が下落して安くなったときには「たくさんの量(口数)」を買い付けることができます。安く大量に仕込める場面です。
これを長期間コツコツと繰り返すことで、1口あたりの平均購入単価を自然と下げることができる仕組みになっています。
「ポートフォリオ」見直しチェックリスト
夏のボーナスが入るこの時期は、半年間の投資状況や家計のバランスを振り返るのに最適なタイミングです。夏枯れ相場を迎える前に、以下の2つのポイントをチェックしてみましょう。
「毎月の生活費がギリギリ」「貯金を取り崩して投資に回している」という状態は注意が必要です。相場が下落したときに精神的な余裕がなくなり、パニック売りに繋がってしまいます。ボーナス支給を機に家計を見直し、「株価が下がっても放置できる」と思える継続可能な金額に調整しましょう。
一括投資も戦略の一つですが、8月は相場が荒れやすい時期です。一度にドカンと買い付けるのが怖い場合は、「ボーナス分を半年〜1年に分けて毎月の積立額を一時的に増やす」方法がおすすめ。買い付け時期を分散させることで、夏の急落リスクを回避しやすくなります。
「余剰資金」の正しい置き場所
相場が急落したときに最もやってはいけない致命的なミスは、「恐怖に負けて途中で保有商品を売却(狼狽売り)してしまうこと」です。一度売却して損失を確定させてしまうと、その後の相場回復の波に乗ることができなくなります。新NISAを使った資産形成は10年、20年という長い年月をかけて育てていく「長距離走」です。ITショック、リーマンショック、コロナショックなど世界経済は何度も暴落を経験してきましたが、世界全体の経済成長とともに主要な株価指数はそれらを乗り越えて過去最高値を更新し続けています。
「数ヶ月〜数年の値動きに一喜一憂しない」「画面を見すぎない」という鈍感力を持つことが、長期投資を成功させる一番の近道です。
下落局面で心が折れてしまう最大の原因は、「すぐに使う予定のあるお金まで投資に回していること」です。お金は以下の3つに分類して管理しましょう。
病気や急な退職などに備え、生活費の「6ヶ月〜1年分」は銀行の普通預金などで、すぐに引き出せる状態にしておきます。
結婚費用、住宅の頭金、教育資金など数年以内に使うことが決まっているお金は、元本割れリスクのある新NISAではなく、定期預金や国債などで手堅く管理します。
当面使う予定のないお金だけを、新NISAなどの積立投資に回します。「最悪半分に減っても生活に一切支障がない」という余剰資金だけで投資を行っていれば、8月に相場がどれだけ荒れようと焦らずどっしりと構えていられます。

