一本釣りから即氷締めまでの徹底した鮮度管理
通常、スーパーなどに並ぶカツオは網で大量に獲られたあとに冷凍されることが多いため、どうしても身が柔らかくなったり、特有の血生臭さが出たりしがちです。しかし、ケンケン鰹が「モチモチ」なのは、「魚を苦しませず、最高の状態のまま食卓へ届ける」という漁師さんたちの徹底した工夫があるからです。
夜明け前に出港し、一匹ずつ丁寧に釣り上げる「ケンケン釣り」
明治時代にハワイ帰りの漁師が伝えた疑似餌を使った釣り法。一匹ずつ丁寧に釣り上げるため魚同士がぶつかって身が傷つくことがない。
カツオが暴れて体温が上がると身が焼けて味が落ちる。釣り上げた瞬間に素早く血抜きし、すぐ氷水でキンキンに冷やす工程が独特の粘り気を生む。
深夜から早朝に出港し、お昼過ぎには港に戻って競りにかけられる。和歌山の海に近いからこそできる、鮮度への究極のこだわり。
市場に出回りにくい”幻の鰹”を求めて
その鮮度ゆえほとんどが和歌山県内や近隣市場で消費されてしまい、食通の間では「幻の鰹」と呼ばれる。この時期にわざわざ和歌山まで足を運ぶ人が絶えない。
後味は驚くほど上品
まずは「お造り」でその身の輝きを確かめてみてください。醤油を弾くほど脂が乗っていながら、後味は驚くほど上品です。噛むたびに口の中でモチッ、モチッと踊るような食感は一度体験すると忘れられない思い出になるはずです。
最高の食べ方(刺身・タタキ・お茶漬け)
一般的な鰹のイメージを覆すような、まるでお餅や生麩を食べているかのような弾力と、口の中でとろける脂の甘み。このモチモチ感を最大限に堪能するための食べ方を3つご紹介します。
少し厚めに切ることで、噛んだ瞬間に「モチッ」と押し返してくる独特の食感をダイレクトに感じられる。和歌山産の柚子胡椒を添えると脂の甘みが際立つ。
表面を炙ることで皮目の香ばしさが加わり、中のモチモチとのコントラストが際立つ。ほんのり温かい状態でお塩と柑橘を絞って食べる塩タタキが絶品。
刺身を醤油・みりんで和えた「づけ」をご飯に乗せ、熱いお出汁や緑茶を注ぐ。食感が「モチモチ」から「しっとり」へ変化し、最後の一滴まで楽しめる。
地元の漁師さんが口をそろえるのが、まず何もつけずに、またはお塩だけで食べること。そうすることでケンケン鰹本来の甘みと食感の違いを最も純粋に感じることができます。醤油は2口目からで十分です。
地元民が太鼓判を押す名店リスト
ケンケン鰹を堪能できる地元の名店をご紹介します。遠方から足を運ぶ際は当日の入荷状況をお店に電話で確認しておくと安心です。
「ここで食べるケンケン鰹が一番!」という地元ファンも多い道の駅。その日に揚がったばかりの鰹を贅沢にお刺身や定食で味わえる。お土産として鮮魚を買うこともできるので、ドライブの目的地にぴったり。
訪れる人の多くが注文するのが鰹のお刺身定食。運ばれてきた瞬間、ルビーのように美しく輝く身の色に驚かされる。箸で持つだけで伝わる弾力があって口に入れると、吸い付くようなモチモチとした食感のあと鰹特有の濃厚な旨味が広がる。
白浜の円月島近くにある歴史ある居酒屋。観光客だけでなく地元の常連さんでいつも賑わう。厚切りにされたケンケン鰹を肴に地酒を楽しむのが通の楽しみ方。和歌山特産の「タカラポン酢」や「にんにく」を添えていただくのが最高。
ケンケン鰹の旬は例年3月から5月頃まで。非常に繊細な魚のため、天候や水揚げ状況によってお店に並ばない日もあります。
遠方から足を運ぶ際は当日の入荷状況をお店に電話で確認しておくと安心です。最初の一口は、ぜひ何もつけずに、またはお塩や少しのお醤油だけで食べてみてください。その食感の違いに驚くはずです。
和歌山の春が育んだ
「奇跡の食感」、ケンケン鰹
- 「鰹=たたき」というイメージを覆す、吸い付くようなモチモチの弾力と上品な脂の甘みは産地・和歌山ならでは
- 一匹ずつ丁寧に釣り上げ即座に氷水で冷やす「ケンケン釣り+活け締め」が、あの独特の食感の源
- 旬は3〜5月のみ。鮮度ゆえほぼ県内消費され食通が「幻の鰹」と呼ぶほど稀少
- まずは厚切りお刺身 → 塩タタキ → まご茶漬けの順で。最初の一口は何もつけずに
- 訪問前に当日の水揚げ状況を電話で確認すること。この一手間が旅の満足度を大きく変える

